P&C製 真空管

1 水銀管、銀樹

製作過程

 水銀の蒸留装置。まぁそのうち866でも作ってみようと。当然真空にする。

 蒸留器のアップ。頭頂部は水冷。
左より第一・第二・第三ボイラ。
なんといってもとてもきれい!
夜空の星か洞窟の水晶か。
 まぁキラキラと光っているものに弱いので美術品のよう。

 トーチであぶりながら銀のアマルガムを作っている様子。2、30分は溶けない。

    

 乳鉢でこねる。

 銀、水銀の水溶液にアマルガムを入れ2、30分経った様子。
とてもきれい。

 宇田川ヨウアン氏の解説によるボーメ氏のレシピに沿ったつもりだが、だいぶ量目を誤ったようだ。

 フランス国王もご高覧になったと言うから、将軍様も見たと信じる。

 宇田川ヨウアン先生の感嘆している様子。
「天保丁酉の年初秋、ようはボーメ氏の方法によって、初めて銀樹を実験した。混ぜる水の量を誤って銀液が濃厚過ぎたために、食事の時間の半分も持たぬうちに、銀アマルガムから六本の茎が生じた。はじめは細い針に似ていた。やがて枝が生じた。翌朝、そのうち二本の茎は自然に崩れ落ちて、瓶の底に横たわり、あとの四本の茎は幹となって、毛のような長い枝を生じた。白く輝いて、銀線を束ねたほうきのようであった。天保九年の初夏、また試みに大豆の大きさの水銀をとり、水銀をわずか一二倍の水でうすめたものに水銀に入れた。時はまさに正午、水銀を入れ終わって机の上に放置し、食事をした。食後、早くも水銀球の表面に短いとげに数本が群がりはえて、縦横に入り組み、よく見るとそのとげの表面には、雪華のような細いすじがあり、またあるものは魚骨のように側面に鋸歯をつけていた。はじめて本書にいうとおり、銀液が濃厚すぎると、銀樹が濃厚すぎると銀樹の成長が速くて、真実の趣に乏しいことがわかった。二日後、銀液に一五倍の水を混ぜて試みた。半日で水銀球の表面に、ゼンマイの葉のようなものが数本生じた。ぎざぎざの葉がくしのように並んだところは、盆栽のシノブそのままであった。一つはその全形を、一つはその一葉の間にさらに小さな葉のある形を拡大したものである。また二日後に銀液を水二〇倍と混ぜたものをつくり、そのなかに銀アマルガムを入れた。時はまさに牛の刻まえで、外出して父の墓参りをし、日没、暗くなってからから帰宅した。着物も着替えず火をともして見た。雪をかぶった樹木のような見事さで、枝の茂り方、粗密の様子は天然の妙趣にかなっていた。梅の姿のものには縦横にやせた枝があり、竹の姿のものは球のように鮮やかで、露は結び風もそよいで、かの梅の名所羅浮山や竹で知られる」キ水のほとりを目の当たりに見るようである。その配置の妙は、絵に描くこともできず、よし描いたとしても、彫り物にすることは到底できない。図はその細かい枝の一つを肉眼で見た大きさで、細い枝がさらに枝分かれするのを顕微鏡で見た図である。以上の実験には、みな小さな瓶を用いたが、瓶の底はふつうやや隆起していて、転げやすい水銀を瓶の中央に静置することができない。そこでようは新工夫をして、こねて環状にした紅蝋を、あらかじめ瓶の底の中央に貼り付け、環の内に水銀を満たしてから銀液を注いだ。」
長文お読みいただきありがとうございました。

6時間目。
太陽光の下に置くとキラキラ光ってとても綺麗だったが、
三ヵ月後に退色した。

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